旧平櫛田中邸での展示
2015年8月から9月にかけて、上野桜木の旧平櫛田中邸にて、約1ヶ月の滞在制作と10日間の発表のプログラム「Denchu.lab」に採択され、ブルキナファソとイタリアでおこなって来たプロジェクトを総括する展覧会を制作、発表をおこないました。
近代彫刻の巨匠、平櫛田中のアトリエだった空間は、窓もとても大きく、素晴らしい採光。窓を開けるとすぐ裏は谷中墓地になっています。
天井も高く、光でいっぱいの空間です。また、旧平櫛田中邸では、イベントなどをおこなうことがあり、夜のライティングではまた別の室内の表情を見せてくれます。
展示物は主に、今までのプロジェクト開催地のナポリ、ブルキナファソで採取したものや、みなかみの天一美術館も含め、制作したワークショップ作品です。それとアトリエに残されていた、平櫛田中先生や、彼が亡くなった後に居住されたお弟子さんの道具や作品の一部なども、そのまま展示しました。
こんなところに、クレニ村の村長の集落の男性陣が制作した拓本の作品「独身女性」が歩いています!
これはメンバーの上野さんが持って来てくれたバラフォンのミニチュア版です。
アトリエには立派な本棚がぐるりと囲んでいます。平櫛田中先生は、たいへんな読書家であったそうです。そこには、ワガドゥグの市場で見つけた缶のおろし金、ヨーロッパのガラス写真、シートゥムや縄などが、旧平櫛田中邸の棚や台に、国境を越えてなかよく収まっています。 発表の期間は、メンバーが会場にいて、語り部となってプロジェクトの話をしました。そこから引き出される観客の方のお話も、作品の一部です。
ここは、アトリエの倉庫で、普段は扉が閉まっています。しかしその奥には、壊れた作品の欠片や道具が置かれた、閉じられた空間でした。ここでは、ブルキナファソで私たちがおこなった、ジュラ語による詩のパフォーマンス音声を流しました。うっすらと部品が浮かぶ闇の中で、ブルキナの夜を想像・・・できたでしょうか?
時間と歴史を感じさせ、存在感があり、かつ開放感のある田中先生のアトリエは、書棚、倉庫、いろいろな表情を見せてくれて、私たちのプロジェクトにまた新しい一面と、今後の展開を感じさせてくれるものとなりました。